注目の論文
新しい疼痛緩和法
Nature Neuroscience
2010年9月20日
New pain relief
通常と異なる機序で働く新しい疼痛抑制薬がNature Neuroscience(電子版)に報告される。
カンナビノイド1型(CB1)受容体はマリファナの作用を仲介する受容体として知られるが、自身の体内にある内在性カンナビノイドも認識する。CB1受容体は中枢神経系(CNS)にも末梢神経系にもみられる。内在性カンナビノイド系の成分を標的とする薬剤は疼痛を緩和する。しかし、その大半の薬剤は末梢の鎮痛作用だけでなく、血液脳関門を容易に通過して脳に進入し、望ましくないCNS副作用をもたらす。例えば、薬物やアルコールへの感受性のある人にさらに乱用を促す危険性がある。
D Piomelliらは、脳や脊髄の外側にあるCB1のみを活性化する分子を開発した。この薬剤はコードネームをURB937といい、内在性カンナビノイドの1つであるアナンダミドを分解する酵素を阻害する。ラットではこの薬剤によってアナンダミドの濃度が上昇し、CB1活性が高まった結果、ある種の末梢疼痛が軽減した。URB937は脳に進入するが、他のCB1活性化物質とは異なり、専門の輸送体分子によりすばやく認識されて脳外へ排出された。したがって、URB937は脳内にあるアナンダミドの分解には影響せず、望ましくない副作用を生じる見込みは少しもない。
URB937は既存の鎮痛薬やその誘導体とは全く異なる機序で疼痛を抑制するので、今後の疼痛管理に有益かもしれない。
doi: 10.1038/nn.2632
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