注目の論文
過ぎ去ったものの記憶
Nature Neuroscience
2009年2月9日
The memory of things past
Nature Neuroscience(電子版)に発表される研究によると、人は以前に見た画像を、見たこと自体は意識して覚えていなくても識別できることがわかった。このような識別には無意識の潜在記憶ではなく、意識的な顕在記憶が関連すると考えられていた。研究では、このような無意識の再認記憶には脳の特異的な電気的活動パターンが伴うことも見いだされている。
Joel VossとKen Pallerは、計算課題の最中で注意散漫になっている被験者に画像を見せ、覚えてもらった。実験の後半には類似した新しい画像に加えて以前に見せた画像を提示した。被験者は実験時間の大半は以前に見た画像を正しく識別していたが、画像自体を覚えているのではなく、推測したことを報告しているようであった。このことは被験者は意識的に認知していなくても画像を識別できることを示唆する。
再認実験中に被験者が意識的に認知することなく画像を識別するとき、脳の活動に関係する電気シグナル記録には明瞭な応答が現れた。あるものを再認するにはそれを以前に見たという顕在的自覚が必要と考えられていたが、この結果から潜在記憶が寄与している可能性が示唆される。
doi: 10.1038/nn.2260
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