注目の論文
ひっかくとどうして痒みが和らぐのか
Nature Neuroscience
2009年4月7日
How scratching relieves itch
痒みを感じているときに限って、皮膚をひっかくとある種の脊髄ニューロンの活動が低下するとの報告が、Nature Neuroscienceに掲載される。この研究は、痒みはそれだけで脊髄に特殊な状態を誘導し、ひっかくことで痒み感覚を脳に伝えるニューロンの活動を減少させる可能性があることを示唆している。
ひっかくと痒みが和らぐというのは誰もが経験することだが、そうなる生理的な仕組みについてはほとんどわかっていない。ヒトや霊長類ついての研究では、脊髄の特定領域(脊髄視床路)がこの感覚に重要であり、皮膚に痒み物質を塗るとそこにあるニューロンの活動が高まることが示唆されている。
G J Giesler Jrらは、霊長類で痒みを感じているときに皮膚をひっかくと脊髄視床路のニューロン活動が阻害されることを示している。興味深いのは、痒みを感じていない実験動物では、このニューロンの活動はひっかいても止まらなかったことである。
doi: 10.1038/nn.2292
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