医学:断食がマウスにおける乳がんのホルモン療法への反応改善と関連する
Nature
2025年12月11日
Medicine: Fasting linked to improved hormone therapy response for breast cancer in mice
断食の代謝効果を模倣する療法は、乳がんに対するホルモン治療の効果を高める可能性があることを報告する論文が、Nature にオープンアクセスで掲載される。マウス細胞で行われたこの研究では、断食に関連する代謝産物が、特定の細胞経路における抗腫瘍特性を強化することが判明した。この効果を確認するためには、さらなる臨床研究が必要である。
異常なエストロゲンレベルによって引き起こされる乳がんのおもな治療法である内分泌療法(endocrine therapies)は、体内のホルモンレベルを下げることで作用する。しかし、腫瘍はホルモン療法に対する耐性を獲得し、成長を続けることがある。これまでの動物モデルでの研究では、定期的な断食が内分泌療法の有効性を高め、特定のタイプの乳がんにおける耐性の発現を遅らせることが示されているが、そのメカニズムは不明のままであった。
Wilbert Zwart(オランダがん研究所〔オランダ〕)、Irene Caffaらは、マウスにヒトホルモン受容体陽性(HR+:human hormone receptor-positive)乳がんを誘発し、タモキシフェン(tamoxifen;一般的な内分泌療法)と併用した週1回の48時間断食サイクルを開始することで、この効果を調査した。著者らはまた、タモキシフェンと併用した断食の代謝効果を模倣する5日間食事療法を実施中のヒトの乳がん患者からのサンプルも分析した。腫瘍の分析により、マウスにおける断食とヒトにおける断食模倣食が、HR+乳がん細胞においてグルココルチコイド(glucocorticoid)受容体およびプロゲステロン(progesterone)受容体の広範な活性化を誘導したことが判明した。これらの経路は、腫瘍抑制効果を持つことが知られている。マウス細胞株からこれらの受容体を除去すると、断食とタモキシフェンの抗腫瘍効果が消失し、これらの受容体がメカニズムにおいて重要な役割を果たしていることが実証された。最後に、研究者らはデキサメタゾン(dexamethasone;グルココルチコイド受容体活性化により断食効果を模倣する治療薬)をタモキシフェンと併用してマウス細胞に投与した。この併用療法が断食と同等の抗腫瘍効果を示すことを確認し、断食に代わる治療法としての可能性を実証した。
著者らは、臨床応用を行う前に、ヒトにおけるコルチコステロイド(corticosteroid)治療の長期的な安全性と有効性を評価する必要があると強調している。
- Article
- Open access
- Published: 10 December 2025
Padrão, N., Severson, T.M., Gregoricchio, S. et al. Fasting boosts breast cancer therapy efficacy via glucocorticoid activation. Nature (2025). https://doi.org/10.1038/s41586-025-09869-0
doi: 10.1038/s41586-025-09869-0
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