注目の論文
ハンチントン病の幅広く効く治療法に新しい糸口
Nature Biotechnology
2009年5月4日
Fresh lead for broad-spectrum Huntington's therapy
新しい発見によって、ハンチントン病やそれに似た病気の治療薬の開発が促進されるかもしれない。
我々は、ほとんどの遺伝子を、少しずつ異なる2コピーずつもっている。重い神経疾患の1つハンチントン病は、ハンチンチン(HTT)遺伝子2コピーの一方に、CAGという3塩基配列が36個以上反復した部分があることから生じる。治療法を見つける難しさは、この異常な「繰り返し」HTT遺伝子を抑制しながら、しかも正常なコピーの働きは止めないという点にある。これまで変異HTTの抑制の研究では、反復配列の外にある特異的変異が標的として利用されてきたが、この方法では、珍しいHTT変異をもつ患者の役には立たなかった。
D Coreyたちは、遺伝子操作したRNAを用いれば、変異HTTと正常HTTがCAG反復配列自体に基づいて識別できることを明らかにした。この方法では、ハンチントン病と関連のみられる最も一般的な変異をもたない患者の細胞でも、変異遺伝子を選択的に標的にできる。どのような機構がかかわるのか、またこの治療法が動物でどの程度うまく働くかなど、研究すべきことは多く残されているが、今回の成果は、あらゆるハンチントン病患者に効く薬を開発する出発点になるだろう。
doi: 10.1038/nbt.1539
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