注目の論文
【肺線維症】予防の標的となるシグナル伝達経路
Nature Communications
2012年4月11日
Lung fibrosis: Signalling pathways as targets for prevention
マウスモデルの研究で、腫瘍抑制遺伝子CYLDの欠失が肺線維症を引き起こすことを報告する論文が、今週、Nature Communicationsに掲載される。この新知見は、肺線維症に関与する詳細な機構に関するさらなる手がかりをもたらしている。
腫瘍抑制遺伝子CYLDは、最初は、円柱腫において変異している遺伝子として同定された。円柱腫という疾患は、複数の皮膚の良性腫瘍に関連している。今回、J-D Liたちは、肺炎連鎖球菌の感染又は化学療法剤のブレオマイシンが関係するマウスにおける肺線維症の予防にCYLDタンパク質が役割を果たしていることを報告している。J-D Liたちは、これまでの研究で、CYLDが、急性の肺炎連鎖球菌感染症に関連する症状を防ぐことを明らかにしていたが、今回の研究では、CYLDが、慢性肺線維症に関連するシグナル伝達経路を遮断することを明らかにした。また、CYLD欠損マウスでは、野生型マウスと比較して、感染後の肺線維症が重症化し、ヒト肺線維症の試料ではCYLD濃度が低かった。
以上の新知見は、CYLDとCYLDが調節するシグナル伝達経路が、肺線維症の新たな治療法を設計する際に重要な標的となる可能性があることを示唆している。
doi: 10.1038/ncomms1776
注目の論文
-
11月14日
医学:豚からヒトへの腎臓移植の長期経過観察Nature
-
11月14日
生態学:鳥インフルエンザがサウスジョージア島の繁殖期のゾウアザラシ個体数を半減させるCommunications Biology
-
11月13日
気候変動:ムンバイにおける異常降雨に関連した不均衡な死亡率Nature
-
11月11日
加齢:多言語使用は老化の加速を防ぐかもしれないNature Aging
-
11月11日
バイオテクノロジー:超音波がマウスの脳卒中後の脳内残留物を除去するのに役立つNature Biotechnology
-
11月6日
神経科学:時間の経過とともに発達する脳の変化を解明するNature
