注目の論文
チンパンジーはどのようにして他者の行動を理解するのか
Nature Communications
2012年2月22日
Understanding actions through a chimpanzee’s eyes
成人とチンパンジーは同じように他者の行動を予測するが、ヒトの方がチンパンジーよりも頻繁に行動する者の顔に注意を向けることがわかった。この研究結果を報告する論文が、今週、Nature Communicationsに掲載される。 ヒトが他者の行動を理解する際には、単に物理的運動として理解するだけでなく、その他者の意図を推測して、その行動を目標指向行動として解釈している。ヒトは、行動をする者からの情報を組み込んで、目標指向行動を観察する傾向があるが、これがチンパンジーの成体には見られない。今回、明和政子(みょうわ・まさこ)たちは、俳優が目標指向行動と非目標指向行動を行うビデオを成人と生後8か月と12か月の乳児、そしてチンパンジーの成体に見せる実験を行い、視標追跡技術を用いて、被験者の眼球運動を比較した。その結果、チンパンジーが、この2種類の行動の目標を同じ方法で予測していたのに対して、ヒトが目標指向行動を見るときには俳優の顔に頻繁に視線を向けていたことが判明した。特に乳児は、チンパンジーより有意に頻繁に視線を向けていた。この結果は、チンパンジーが、物体に関連した情報から行動目標を予測し、ヒトは、行動している者から意図を推測している可能性を示唆している。
doi: 10.1038/ncomms1695
注目の論文
-
5月9日
生物学:人為起源の地球規模の変化が感染症伝播リスクに影響を及ぼしているNature
-
5月8日
生態学:マッコウクジラの複雑な鳴音を調べるNature Communications
-
5月7日
遺伝学:APOE4遺伝子バリアントはアルツハイマー病の他とは異なる遺伝的タイプである可能性があるNature Medicine
-
5月3日
動物学:薬用植物を使って創傷治療を行う野生動物が初めて報告されるScientific Reports
-
5月3日
進化学:地球の磁場が弱くなっていたために地球上の生物の多様化が進んだのもしれないCommunications Earth & Environment
-
5月2日
微生物学:マウスにおけるマイクロバイオームと仔の健康との関連Nature