神経科学:「身体と心」を結ぶネットワークがパーキンソン病治療改善の新たな標的となる可能性
Nature
2026年2月5日
Neuroscience: ‘Body and mind’ network a potential target to improve treatment for Parkinson’s disease
認知(思考)と行動を結びつける最近新たに発見された脳のネットワークが、パーキンソン病に重要な役割を果たし、その治療法を改善するかもしれないことを報告する論文が、Nature にオープンアクセスで掲載される。脳のほかの運動領域ではなく、このネットワークを標的とすることで、既存のパーキンソン病治療薬の効果が倍増する可能性があり、このネットワークが治療の鍵となる標的となり得ることが示唆されている。
パーキンソン病は、運動や睡眠といった身体機能に加え、意欲や思考にも影響を及ぼす。震えや筋硬直、および歩行障害で定義されることが多いが、多くの症状は特定の身体部位に限定されない。体性認知行動ネットワーク(SCAN:somato‑cognitive action network)は、最近新たに発見された脳のネットワークであり、認知、運動、および身体状態を結びつけることで、パーキンソン病の多様な症状を説明する有力候補である。
Jianxun Ren、Nico Dosenbach、Hesheng Liu(北京大学〔中国〕)らは、深部脳刺激、薬物療法、経頭蓋磁気刺激、および集束超音波刺激など、症状改善効果が確認されている複数の確立された治療法を受けたパーキンソン病患者863名の脳データを分析した。その結果、パーキンソン病で共通して関与する脳領域は、特定の運動に関わるほかの運動領域よりもSCANとの結合性が強いことが判明した。この結合性は、パーキンソン病では増加していたが、本態性振戦などほかの運動障害では見られなかった。症状改善効果のある治療法、すなわち、深部脳刺激、薬物療法、および経頭蓋磁気刺激などは、このSCANの過剰な結合性を減らし、健康なボランティアと同等のレベルに近づけることが判明した。さらに、特定の運動に関連するほかの脳領域ではなく、SCANを標的とした場合、経頭蓋磁気刺激治療の効果が2倍になった。
これらの知見は、この脳のネットワークの変化がパーキンソン病の病態生理において中心的な役割を果たしている可能性を示唆しており、将来の治療法や脳にもとづく療法の指針となるかもしれない。臨床ケアにおいてこの情報をどのように活用するのが最適かを確認するためには、さらなる研究が必要である。
- Article
- Open access
- Published: 04 February 2026
Ren, J., Zhang, W., Dahmani, L. et al. Parkinson’s disease as a somato-cognitive action network disorder. Nature (2026). https://doi.org/10.1038/s41586-025-10059-1
doi: 10.1038/s41586-025-10059-1
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