進化:クラゲとイソギンチャクは人間のように眠る
Nature Communications
2026年1月7日
Evolution: Jellyfish and sea anemones sleep like humans
クラゲとイソギンチャクの睡眠パターンは、人間と顕著な類似性を持つことを報告する論文が、オープンアクセスジャーナルNature Communications に掲載される。この発見は、睡眠が覚醒にともなうDNA損傷から身を守るために多様な種で進化したという仮説を支持するものである。
睡眠は、動物界に共通して保存されている行動である。多くの利点の中でも、特に脳のニューロン内におけるDNA損傷の軽減に重要な役割を果たしていることが知られている。ニューロンは、基底動物群(basal metazoans)で進化したと考えられている。基底動物群は、初期に現れた動物群で、現在のイソギンチャクやクラゲ(Cnidaria phylum〔刺胞動物門〕に属する)に類似していた。サカサクラゲ(Cassiopea jellyfish)では、睡眠に似た状態が以前より確認されていたが、これらの生物における「睡眠」の具体的な構造とその役割は不明のままであった。
Lior Appelbaum(バル=イラン大学〔イスラエル〕)、Raphaël Aguillonらは、クラゲ(Cassiopea andromeda;サカサクラゲ)の睡眠パターンを実験室環境と自然生息地の両方で、また、イソギンチャク(Nematostella vectensis)の睡眠パターンを実験室のみで観察した。その結果、これらの生物はいずれも人間と同様に、1日の約3分の1を睡眠に費やしていることが確認された。クラゲは、おもに夜間(正午ごろに短い仮眠を挟みながら)眠るのに対し、イソギンチャクはおもに日中に眠ることが観察された。これらの睡眠パターンのメカニズムをさらに調査した結果、クラゲの睡眠は光の変化と睡眠の恒常性駆動(睡眠の必要性を追跡する体内メカニズム)によって制御されていることが判明した。一方、イソギンチャクの睡眠は体内時計と睡眠の恒常性駆動によって調節されていた。
著者らは、刺胞動物(Cnidarians)が古代動物の睡眠進化の研究モデルとして有望であることを指摘している。両種において、覚醒状態や睡眠不足は神経細胞のDNA損傷増加と関連していた。一方、自然発生または誘導された睡眠はDNA損傷の減少と結びついていた。また、外部ストレス要因によるDNA損傷の増加は、生物がより多くの睡眠を取ることで補償する結果をもたらした。これらの知見は、睡眠が覚醒にともなうDNA損傷や細胞ストレスを軽減するメカニズムとして、これらの動物で進化した可能性を示唆している。
- Article
- Open access
- Published: 06 January 2026
Aguillon, R., Harduf, A., Sagi, D. et al. DNA damage modulates sleep drive in basal cnidarians with divergent chronotypes. Nat Commun 17, 3 (2026). https://doi.org/10.1038/s41467-025-67400-5
doi: 10.1038/s41467-025-67400-5
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