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古生物学:アンモライト宝石が鮮やかな色を得る仕組み

Scientific Reports

2025年10月31日

Palaeontology: How ammolite gemstones get their vivid colours

Scientific Reports

鮮やかな色の化石アンモナイト(ammonite)の殻で非常に珍しいタイプの宝石、アンモライト(ammolite)の鮮やかな色の起源について報告する論文が、オープンアクセスジャーナルScientific Reports に掲載される。

アンモライトの色は、マザーオブパール(mother-of-pearl;真珠母貝)と呼ばれる真珠層(nacre)の保存された層の中に現れる。真珠層は、鉱物アラゴナイト(aragonite)の層状板と、タンパク質などの少量の有機物で構成されている。アンモライトの色は、これらの層との光の相互作用に起因すると考えられているが、その起源は実験的に検証されていなかった。

今井 宏明ら(慶應義塾大学)は、電子顕微鏡とシミュレーションを用いて、カナダのアルバータ(Alberta)州産のアンモライト標本の構造的および光学的特性を調査した。その後、マダガスカル産のアンモナイト化石の淡色真珠層、およびアワビ(abalone)やオウムガイ(nautilus shells)の殻の特性と比較した。著者らは、全試料に同様の層状アラゴナイト構造を確認したが、板の厚さや板間隙の大きさに差異があることを発見した。アンモライトの鮮やかな発色は、アラゴナイト板間の4ナノメートル幅の隙間による光の反射と、真珠層内における均一な厚さの層の均等な分布によって生じていると結論づけた。ほかの試料における真珠層の淡い色調は、アラゴナイト板間の隙間が広い、あるいは隙間が存在しないこと、これらの隙間に有機物が存在する、あるいは真珠層内の層分布に差異があることが原因であると著者らは示唆している。

著者らは、この発見が退色しない着色塗料の開発に役立つかもしれないと述べている。

Hizukuri, N., Oshima, Y., Yagi, Y. et al. Brilliant structural colors originating from reflection by nanogaps of nacreous layers in fossilized ammonite shells. Sci Rep 15, 37541 (2025). https://doi.org/10.1038/s41598-025-21872-z
 

doi: 10.1038/s41598-025-21872-z

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