注目の論文
加齢:高齢者の心臓における体細胞変異の同定
Nature Aging
2022年8月12日
Ageing: Mutations in the ageing human heart identified
ヒトの心臓において加齢とともに蓄積する体細胞変異が特定されたことを報告する論文が、Nature Aging に掲載される。この知見は、心臓の機能が年齢とともにどのように低下するかを理解する上で役立つ可能性がある。
人体を構成する細胞(例えば、心筋細胞)のDNAには、加齢とともにエラー(体細胞変異)が蓄積される。体細胞変異の中には、ほとんど影響を及ぼさないように思われるものがある一方で、例えば、がん発生の基盤となるものや生理的な老化に寄与する可能性が高いものもある。心筋細胞における体細胞変異の蓄積は、細胞機能の低下の一因となる可能性がある。しかし、体細胞変異に関するデータは、まだ得られていない。
今回、Christopher Walshたちの研究グループは、単一細胞の全ゲノム塩基配列解読を行って、0.4〜82歳の12人の心筋細胞における体細胞一塩基変異(DNA塩基配列中の1つの塩基が変異したもの)のプロファイリングを行った。その結果、心筋細胞に酸化的DNA損傷、DNA修復機構の不全と塩基置換の増加を示す変異シグネチャーがあることが明らかになった。これらは、全て加齢とともに蓄積する。
今回の研究で特定されたプロセスが心臓の加齢において因果的役割を担っているのかどうか、そして、それらのプロセスがどのように心臓の機能を障害すると考えられるのかを解明するには、さらなる研究が必要である。
doi: 10.1038/s43587-022-00261-5
注目の論文
-
9月18日
医療科学:医療を導くAIツールNature
-
9月18日
気候変動:温暖化によるサンゴ礁の緩衝機能の危機Nature
-
9月18日
神経科学:繰り返される頭部外傷は若年アスリートの脳細胞を変化させるNature
-
9月18日
古生物学:初期のドーム頭を持つ恐竜Nature
-
9月17日
健康:長期的なコロナウイルス感染症の後遺症は月経障害と関連するNature Communications
-
9月17日
気候変動:温暖化が熱帯地域の土壌からの二酸化炭素排出を増加させるNature Communications