注目の論文
【社会学】現代文化の変化する速さを測る
Nature Human Behaviour
2020年1月21日
Sociology: Measuring the pace of modern culture
現代の文化は緩やかに進化し、その速度は生物の進化速度と同等であることを報告する論文が掲載される。この知見は、人間の文化が生物体の進化より極めて速く進化するという定説に異議を唱えるものである。
20世紀には、長期に及ぶ数々の実地調査によって、動物集団の生物学的進化に関する研究がなされ、進化上の変化の速度が推定された。文化については、考古学的記録を対象としたこれまでの研究から、生物進化の変化と同等に変化することが示唆されていたものの、その速さについてはよく分かっていなかった。
今回、Armand Leroiたちは、広範な近過去の歴史記録が存在する文化的なアーティファクト(ポップミュージック、文学、科学論文、車など)の「集団」、ならびに比較対照としての動物集団(ダーウィンフィンチ、オオシモフリエダシャク、ヒトリガ、英国に生息するカタツムリの一種など)に注目した。そして進化生物学者が開発した指標を使って、両群について経時的に変化する速度の計算を試みた。その結果、文化的特性も生物学的形質も同等の速度で変化することが明らかとなった。また、文化はランダムに変化することはなく、文化を安定化させる選択圧、あるいは文化を特定の方向に進化させる選択圧によって形作られることも分かった。
doi: 10.1038/s41562-019-0802-4
注目の論文
-
5月9日
生物学:人為起源の地球規模の変化が感染症伝播リスクに影響を及ぼしているNature
-
5月8日
生態学:マッコウクジラの複雑な鳴音を調べるNature Communications
-
5月7日
遺伝学:APOE4遺伝子バリアントはアルツハイマー病の他とは異なる遺伝的タイプである可能性があるNature Medicine
-
5月3日
動物学:薬用植物を使って創傷治療を行う野生動物が初めて報告されるScientific Reports
-
5月3日
進化学:地球の磁場が弱くなっていたために地球上の生物の多様化が進んだのもしれないCommunications Earth & Environment
-
5月2日
人類学:長期的レジリエンスは苦難によって構築されるNature