注目の論文
【古生物学】現生哺乳類と異なる聴覚器官を持つ初期哺乳類の新種
Nature
2019年11月28日
Palaeontology: Early mammal with a different way of hearing
中国で発見された白亜紀の齧歯類様哺乳類の新種が、その近縁種と異なる耳を持っていたことを報告する論文が、今週掲載される。この新知見は、この哺乳類動物の聴覚器官の進化が、摂食のための特殊化によって推進された可能性を示唆している。
哺乳類の耳の進化、つまり、顎の構成要素が徐々に頭蓋骨内に移動して、中耳の耳小骨になった過程が、少なくとも3回独立に起こったことが、化石証拠から示唆されている。しかし、この過程が異なる哺乳類群でどのように起こったのか、そしてなぜ起こったのかは解明されていない。
今回、Yuanqing Wangたちは、中国遼寧省の九仏堂層で発見された多丘歯目哺乳類(齧歯類様哺乳類の分類群)の新種Jeholbaatar kielanaeの化石について記述している。Wangたちは、この化石が約1億2000万年前のものであり、この哺乳類動物の体重を約50グラムと推定している。左中耳骨の保存状態が良好だったため、以前に報告された白亜紀の多丘歯目哺乳類よりも独自の構造が明らかになり、その構成要素もより完全な形を保持している。Jeholbaatar kielanaeの化石によって得られた証拠は、多丘歯目哺乳類の中耳の発達が、摂食に必要な条件によって誘発されたことを示唆している。Wangたちは、下頬部の形状から判断して、Jeholbaatar kielanaeが雑食性で、蠕虫、節足動物、植物を餌として、咀嚼時の顎の動きが特徴的だったという見解を示している。
doi: 10.1038/s41586-019-1792-0
注目の論文
-
10月3日
神経科学:ショウジョウバエの脳の完全な地図Nature
-
9月26日
ウイルス学:牛のH5N1型インフルエンザは搾乳によって広がる可能性があるNature
-
9月26日
進化:哺乳類の顎関節の起源を調査するNature
-
9月24日
生態学:タコと魚の狩猟グループにおける共同リーダーシップNature Ecology & Evolution
-
9月19日
気候変動:将来の干ばつは予想以上に長期化する可能性Nature
-
9月17日
神経科学:妊娠に伴う脳の変化を調査するNature Neuroscience