注目の論文
農場の埃に含まれる微生物が都会の子どもの喘息を減少させる
Nature Medicine
2019年6月18日
Farm dust microbes linked with reduced asthma in city children
都会環境に住む子どもを、農家と似た微生物相を持つハウスダストに曝露してやると、喘息発症が減る可能性があることが分かった。
喘息の発症は都会化と関連があるとされており、これは農場には依然として存在している重要な微生物種が、都会のハウスダストから消失したことが関係しているらしい。しかし、都会の環境中にこうした微生物が存在したら、それが喘息の罹患率の低下に結び付くかどうかは、これまで不明だった。
P Kirjavainenたちは、フィンランドの小児395人の田舎もしくは郊外にある住居の屋内ダストの微生物相を調べ、微生物存在量のパターンに農家と関連して見られるはっきりした特徴があることを見いだした。さらに、ドイツの小児1031人からなるコホートについての調査でも同様の知見が得られ、農家ではないが、屋内微生物相がフィンランドの農家の微生物相とよく似た家に住む子どもでは、喘息の発症リスクが低下していることが明らかになった。
この観察研究では、個々の微生物種が喘息発症を直接的に防ぐ働きをしていることが確証されたわけではないが、喘息の発症に環境由来の微生物が役割を果たしていることは裏付けられたといえる。Kirjavainenたちは、家庭内微生物相の組成の測定が、住居が郊外あるいは都会にある子どもたちの喘息発症の相対的リスクの評価や監視に役立つ可能性があると考えている。
doi: 10.1038/s41591-019-0469-4
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