注目の論文
【生態学】英国でのハイイロチュウヒの消失にライチョウ狩場が関係していた
Nature Communications
2019年3月20日
Ecology: Hen harrier disappearances in Britain associated with grouse moor use
英国では、ライチョウ狩場を生息地として用いるハイイロチュウヒの消失確率が高いことを報告する論文が、今週掲載される。この知見は、人工衛星標識を取り付けたハイイロチュウヒ58羽のデータに基づく研究から明らかになった。
今回、Arjun Amar、Megan Murgatroydたちの研究グループは、人工衛星による追跡装置とリモートセンシングによる生息地と土地管理のデータを用いて、ハイイロチュウヒの死と消失に、アカライチョウの狩猟のために管理された土地が関係しているかを調べた。研究対象となった58羽のハイイロチュウヒのうち38羽が消失し(つまり、装着されていた標識の故障を示す証拠が事前に見つかっていないにもかかわらず、発信機能が突然停止し、遺骸が回収されない状況)、4羽が違法狩猟のために死んだ。著者たちは、追跡対象だったハイイロチュウヒの死や消失と、ハイイロチュウヒがライチョウ狩場を生息地として用いていたこととの間に関連があることを見いだした。また、著者たちは、人工衛星によって特定された位置データから、通常は狩場全体を用いていたハイイロチュウヒが、消失する前の1週間は狩場の中の偏った区域を使っていたことを明らかにした。
著者たちは今回の研究結果から、物理的証拠はないものの、追跡用標識の破壊とハイイロチュウヒの消失の原因は違法狩猟である可能性が非常に高いことが示唆されると主張している。
doi: 10.1038/s41467-019-09044-w
注目の論文
-
5月29日
社会科学:研究テーマの変更は被引用数の減少につながるかもしれないNature
-
5月28日
古生物学:クジラの骨から作られた最古の道具の証拠Nature Communications
-
5月27日
生態学:世界的に過小評価されている外来種のコストNature Ecology & Evolution
-
5月22日
微生物学:効果的な新しい抗マラリア薬は寄生生物を標的とするNature
-
5月21日
医学:非接触型無線モニタリングによる心臓不整脈の検出Nature Communications
-
5月20日
人工知能:大規模な言語モデルは、オンライン討論において人間よりも説得力を持つことができるNature Human Behaviour