注目の論文
【生態学】島に暮らす鳥は脳が大きい
Nature Communications
2018年8月1日
Ecology: Island living isn’t for bird brains
海洋島(地震活動や火山活動によって海洋底が隆起してできた島)に生息する鳥類種は、大陸に生息する近縁種よりも脳が大きいことを報告する論文が、今週掲載される。今回の研究では、このような差が生じた原因について、定着の成功度の差ではなく、海洋島で起こった進化の過程の結果であることが示唆されている。
ニューカレドニアカラス、ハワイガラス、そしてキツツキフィンチが道具を用いることは、島で高度な認知能力の進化が起こることを示唆している。しかし、島嶼種と大陸種の間に相対的な脳サイズの差があるかどうかを調べた研究は、これまでのところカラス属と霊長類の研究の2例しかなく、いずれの場合も、島での生活と体サイズに対する脳サイズとの関連は認められなかった。
今回、Ferran Sayolたちの研究グループは、鳥類種1931種(島嶼種110種と大陸種1821種)の標本1万1554点の脳サイズのデータセットを用いて、海洋島に生息する鳥類種の脳が大陸に生息する近縁種より大きい傾向が見られることを明らかにした。Sayolたちは、その原因として、島で生活する方が環境の予測がつきにくく、結果として大きな脳が選択された、という考えを示している。島で生活をしていると、状況が悪化しても生息地を移動するという可能性に制約があるため、個体がきめ細かな行動反応を模索し、それに依存せざるを得ないと考えられる。
doi: 10.1038/s41467-018-05280-8
注目の論文
-
5月29日
社会科学:研究テーマの変更は被引用数の減少につながるかもしれないNature
-
5月28日
古生物学:クジラの骨から作られた最古の道具の証拠Nature Communications
-
5月27日
生態学:世界的に過小評価されている外来種のコストNature Ecology & Evolution
-
5月22日
微生物学:効果的な新しい抗マラリア薬は寄生生物を標的とするNature
-
5月21日
医学:非接触型無線モニタリングによる心臓不整脈の検出Nature Communications
-
5月20日
人工知能:大規模な言語モデルは、オンライン討論において人間よりも説得力を持つことができるNature Human Behaviour