注目の論文
1回の注射で、サルを長期にわたってHIVから守る
Nature Medicine
2018年4月17日
Single injection for long-lasting HIV protection in monkeys
HIVを標的とする抗体を1回注射するだけで、サルのHIV感染を最長20週間にわたって防止できたことが報告された。この結果は、HIV感染を抗体の間欠的な接種によって予防する方法につながると考えられる。
HIV感染症については30年以上にわたって研究が続けられてきたが、ワクチンも治癒に至る手段もまだ存在しない。しかしHIV特異的免疫応答の研究から、HIV感染者では幅広いウイルス系統の感染を防ぐ抗体が産生される場合があることが明らかになっている。このような抗体を使ってHIV陽性被検者のウイルスレベルを制御する方法については臨床試験が現在進行中であり、また、この抗体で感染を防げるかどうかを調べる前臨床試験もサルで行われている。
今回M Martinたちは、抗体のサルへの単回の注射によって、サル–ヒト免疫不全ウイルス(SHIV)への感染が長期間防がれることを報告している。注射に使われた抗体は2種類のHIV中和抗体を修飾することで開発されたもので、修飾によって抗体が血液中に存在する期間が、修飾していない場合の2~4倍に長くなっている。これらの修飾抗体を組み合わせた皮下注射により、ほとんどのサルが平均20週間(中央値)にわたってSHIV感染から守られた。
単回投与でもHIV感染に対してある程度持続的な防御を誘発できるという今回の抗体は、HIVワクチンがないという現在の状況下で、年1回あるいは2回の曝露前予防投与に使える薬剤を開発するための基盤となりそうだ。
doi: 10.1038/s41591-018-0001-2
注目の論文
-
3月18日
ウイルス学:FDA承認の抗ウイルス剤がマウスにおける鳥インフルエンザの転帰を改善Nature Microbiology
-
3月18日
微生物学:再生可能なプラスチックの生産に大腸菌を使用Nature Chemical Biology
-
3月13日
考古学:西ヨーロッパで発見された最古の顔の一部Nature
-
3月12日
農業:太陽電池式温室で植物の成長が改善するNature Communications
-
3月11日
神経科学:類似した脳波が、現実と想像のナビゲーションを促進するかもしれないNature Human Behaviour
-
3月6日
人類の進化:最古の骨製道具Nature