注目の論文
動物学:エジプトルーセットオオコウモリの鳴き声に含まれる多彩な情報
Scientific Reports
2016年12月22日
Zoology: Talk like an Egyptian (bat)
エジプトルーセットオオコウモリの発声には、誰に対して発声したのか、などの情報が含まれていることを報告する論文が、今週掲載される。約1万5000種類の発声の分析が行われ、この発声の中に、その状況や発声者の同一性などの情報が含まれていることが分かった。
コウモリは社会的動物で、大型のコロニーで生息していることが多く、一般に社会的相互作用に参加している。コウモリの社会的コミュニケーションは発声に大きく依存しているが、コウモリの鳴き声の機能と鳴き声に含まれる情報については、ほとんど分かっていなかった。
今回、Yossi Yovelの研究グループは、22頭のエジプトルーセットオオコウモリの発声を75日間にわたって記録し、そこから約1万5000種類の発声のデータセットを組み立てた。このデータセットには、今回の実験でコウモリが用いた発声が網羅されている。そしてYovelたちは、このデータセットの分析を行い、これらの発声に発声者の同一性と発声の受け手に関する情報が含まれているという考えを示している。このコウモリの発声の大部分は、攻撃的な遭遇の際に発せられたものだが、Yovelたちは、鳴き声のスペクトル組成を分析し、具体的な攻撃的状況(例えば、食料、寝る場所やその他の資源をめぐる小競り合い)を峻別することができた。動物の鳴き声は、音響研究において単一のカテゴリーに分類されることが多く、その原因として目録作成の困難さが挙げられるが、Yovelたちは、動物の鳴き声について掘り下げて研究することが有益である可能性を指摘している。
doi: 10.1038/srep39419
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