Research Press Release
透水性のあるダイズをもたらした遺伝子変異
Nature Genetics
2015年6月23日
ダイズの栽培化において重要な役割を果たした1つの遺伝子が発見された。この遺伝子を持つ野生ダイズは透水性のない硬実種子だが、今回同定された遺伝子変異を持つダイズは軟実種子となり、急速に吸水でき、発芽が早くなる。
硬実種子の植物は、長期間にわたって休眠でき、捕食を回避できるが、そのため農業に必要な大規模栽培をすることが難しい。
今回、J Maたちは、遺伝子マッピングの手法を用いて、野生ダイズの硬実種子を現在食用として栽培されているダイズの透水性のある種子に変えた遺伝的変化がゲノムのどこで起こったかその位置を特定した。その結果、GmHs1-1遺伝子における単一の変異の有無が、ダイズの透水性のある種子と透水性のない種子の違いになることが分かった。また、野生ダイズのGmHs1-1遺伝子を透水性の軟実種子である栽培種ダイズに導入したところ、野生ダイズのような硬実種子が生じた。
さらにMaたちは、数多くのダイズ栽培種とその他のダイズ種のGmHs1-1遺伝子の塩基配列を比較し、昔の農民が今回の研究で見つかった変異を特異的に選抜した可能性があると結論づけている。ただし、この遺伝子変異を持たない栽培種もわずかだが存在し、それは種子が割れやすいダイズ種であった。この栽培種には透水性があり、農業に適した種子を作り出すもう1つの方法である。
doi:10.1038/ng.3339
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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