Research Press Release
腸チフスに対する防御に関連する遺伝子バリアント
Nature Genetics
2014年11月11日
腸チフスの発症リスクに関連する遺伝子バリアントが解析され、腸チフスの原因菌とヒト宿主との相互作用に関する理解が進んだ。腸チフスには毎年約2600万人以上が感染しており、その大部分が低所得国の国民だ。腸チフスは別名「腸炎熱」というが、サルモネラ菌の特定の菌株が原因で、糞便によって汚染された食物や水を摂取して感染するのが通例である。腸チフス感染者を治療しないと、そのうちの10~25%が死亡すると考えられている。
今回、S J Dunstanたちは、原因菌に感染しても、腸チフスになる者とならない者がいる理由を探るため、ベトナムとネパールの原因菌感染者と非感染者の遺伝子構成を比較した。その結果、HLA-DRB1*04:05という遺伝子バリアントの腸チフスに対する防御作用が、同じHLA遺伝子の別のバリアントのほぼ5倍であることが分かった。この遺伝子バリアントが位置しているHLA領域は、免疫系の調節を行うタンパク質をコードする遺伝子群が存在する6番染色体上の場所である
doi:10.1038/ng.3143
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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