Research Press Release
ヒトの小腸をマウスの体内で形成
Nature Medicine
2014年10月20日
ヒト幹細胞を実験室で育ててマウスに移植することによって、機能を持ったヒトの腸組織を作り出せるとの報告が寄せられている。この腸のヒト-マウスモデルは、発生過程や胃腸疾患の研究や、病気の新しい治療法の試験に利用できるかもしれない。
胚性幹細胞と人工多能性幹細胞を実験室で増殖させ、腸組織を形成できることは、これまでに明らかになっていた。しかし、このようなモデルは、成長するにつれ、体内の腸組織の生理的、解剖学的変化や機能を完全には再現できなくなる。
Michael Helmrathたちは、実験室で増殖させたこのような組織をマウスの腎組織へと移植すると、組織が実験室での段階を超えて成熟し、ヒトの小腸によく似た複雑な構造が発生することを発見した。解剖学的に見て、この組織には、陰窩や絨毛を含めた小腸の特徴的構造が発生し、数種類の異なった腸細胞が含まれていた。また、この組織は、粒子の血液中への吸収や消化酵素活性といった消化機能も有していた。さらに、マウスの腸の一部を外科的に切除すると、移植したヒト組織が成長して適応することもわかり、このヒト腸組織が、マウスの血中に出されたシグナルに反応することも示された。
doi:10.1038/nm.3737
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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