Research Press Release

【行動】ネアンデルタール人は鳩肉を食べていたか

Scientific Reports

2014年8月7日

ネアンデルタール人がハトを捕獲し、あるいはハトの死骸を集めて食料にしていた可能性を示唆する研究結果が明らかになった。鳥類の意図的利用は、最近まで、現生人類の行動だけに見られる決定的な特徴だと考えられていた。この結果を報告する論文が掲載される。

今回、Clive Finlayson、Ruth Blascoたちは、6万7000~2万8000年前の時期に対応する英領ジブラルタルの「ゴーラムの洞窟」(Gorham's Cave)で見つかったカワラバト(ドバトの古い祖先)の骨を調べた。6万7000~2万8000年前という時期は、ネアンデルタール人とその後の現生人類が、この洞窟に居住していた時期に対応している。一部の骨には、切り痕や燃やされた徴候があったが、このことは、カワラバトが屠殺され、料理されていた可能性を示している。切り痕や焼かれた痕のある骨の割合は比較的小さかったが、Finlaysonたちは、小型の鳥類は最小限の屠殺で十分だったと考えられる点を指摘している。また、一部の骨からは、ヒトの歯型が見つかっており、この洞窟の住人がカワラバトを食べていたことを示すさらなる徴候と言える。

Finlaysonたちは、今回の研究で得られた知見が、ネアンデルタール人とその後の現生人類がカワラバトを食料源として利用していた可能性があり、ネアンデルタール人が、食料を得ることに関して、現生人類と類似した技能を一部備えていた可能性のあることを示唆する証拠だとする見解を示している。

doi:10.1038/srep05971

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

「注目のハイライト」記事一覧へ戻る

プライバシーマーク制度