Research Press Release
【遺伝】ヨーロッパ系ブタの家畜化の遺伝的基盤
Nature Communications
2014年7月16日
ヨーロッパとアジアのブタの野生種と家畜化されたラージホワイト種の遺伝的解析が行われ、19世紀前半にヨーロッパの農民が中国のブタを輸入してヨーロッパ系ブタの品種改良を行ったことが示唆されている。今回の研究では、養豚農家が目的の商業的形質を選択した結果として生じた遺伝的変化も明らかになった。この結果を報告する論文が掲載される。
産業革命が始まった頃、優れた肉質、疾患抵抗性と同腹仔数の多さを特徴とするアジア系のブタが、ヨーロッパに輸入されて、地元種の生産性の向上が図られた。
今回、Mirte Bosseたちは、ヨーロッパとアジアに由来する合計70種のブタのゲノムの塩基配列を解読、解析した。その結果、優れた肉質、成長と繁殖力に関連するアジア由来の遺伝子が数個同定され、これらの遺伝子が、交配によってヨーロッパ系のブタに導入され、養豚農家によって人為的に選択されたことが示唆されている。また、Bosseたちは、AHR遺伝子においてアジア由来の変異を同定し、この変異が、現代のヨーロッパ種の同腹仔数の多さと結びついていることを明らかにした。
今回の研究では、アジア系とヨーロッパ系のブタの育種によって生じた遺伝子パターンが明確になり、現代のヨーロッパ系ブタの家畜化過程における農家の優先事項に関する手掛かりをもたらされた。
doi:10.1038/ncomms5392
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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