Research Press Release
心臓突然死のリスク因子
Nature Genetics
2014年6月23日
心臓突然死のリスク因子に関連する遺伝子について報告する論文が、今週のオンライン版に掲載される。これらの遺伝子は、カルシウム調節が心臓機能の制御において重要な役割を担っていることを明確に示しており、新たな治療薬の開発に役立つ可能性がある。
心臓の電気的周期における2つの重要な時点の間隔をQT間隔というが、医師は、不整脈と心臓突然死のリスクを判定するためにQT間隔を用いている。QT間隔の長さは、健康な成人の場合が約0.36~0.44秒で、複数の遺伝子によってほぼ決まる。
今回、Christopher Newton-Chehたちは、10万人以上を対象とした研究を行い、長いQT間隔に関連する遺伝子を調べた。今回新たに同定された遺伝子の中には、死亡率の高い心臓病であるQT延長症候群の原因遺伝子と相互作用するタンパク質を発現する10個の遺伝子が含まれている。また、Newton-Chehたちは、この10個の遺伝子と相互作用相手のタンパク質が、カルシウムの調節を通じて、心臓を流れる電流の調節にとって極めて重要な役割を担っていることも明らかにした。カルシウムシグナル伝達の阻害は、他の形態の心臓病に関係していることが知られている。
doi:10.1038/ng.3014
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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