Research Press Release
メキシコ湾での噴出後に継続した水中の高メタン濃度
Nature Geoscience
2014年5月12日
2010年にメキシコ湾の石油掘削施設で起きた、ディープウォーター・ホライズン事故の際に水中に放出された大量の天然ガスのかなりの部分は、これまでに考えられていたように8月末までに細菌により消費されたのではないとの報告が掲載される。その代わりに、メタン酸化細菌の活動は孔口からの放出が最終的に停止する前に急速に減少しており、メタン利用可能性以外の要因が流出に応答した生態系の調節を行っていることを示唆している。
Samantha Joyeたちは、最初の流出に引き続く9か月間のメタン酸化細菌の活動と水中のメタン濃度を測定した。彼らは、メタン消費速度は5月と6月初めに急激に上昇したが、孔口からは依然としてメタンが放出されていたにもかかわらず、6月後半には減少したことを発見した。その結果、メタン存在量は少なくともその年の終わりまで上昇したままであった。
関連するNews & Viewsの記事で、Evan Solomonは、「水中での細菌のメタン呼吸は温室効果ガスが大気に放出される前の最後のフィルターであり、局所的な低酸素と海洋酸性化をもたらしうる」と述べている。
doi:10.1038/ngeo2156
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
環境科学:火山活動が中世ヨーロッパにペストをもたらしたかもしれないCommunications Earth & Environment
-
人工知能:チャットボットは投票意向に影響を与えるかもしれないNature
-
社会科学:不安定なビデオ通話は、会話だけでなくそれ以上のものを損なうNature
-
天文学:衛星による光害が宇宙天文学研究を脅かしているNature
-
素粒子物理学:風変わりなクォーク四重項の定量化Nature
-
動物の行動:病気のアリはコロニーを守るため自ら犠牲となるよう合図するNature Communications
