Research Press Release

IPCCの声明を正確に伝えるための工夫

Nature Climate Change

2014年4月21日

気候変動モデルにおいて、不確実性を示す言語記述子(例えば、probableやunlikely)に数値データを併用すれば、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)のガイドラインや知見に関する一般市民の誤った解釈を減らせることが明らかになった。この新知見は、IPCCが発表する情報に関する一般市民の理解を深める上で役立つ可能性がある。詳細を報告する論文が、今週掲載される。

IPCCは、その組織内で作成されて公表される報告書に示される気候変動モデルや予測に伴う不確実性を明確に伝える点で数々の課題に直面している。気候変動研究には、不確実な側面が数多く内在しているが、一般市民が、気候に関連した論点を十分に理解しておらず、それぞれのテーマに関する現在の科学的コンセンサスを誤って解釈しているという問題もあるのだ。

今回、David Budescuたちは、24か国の17言語を対象とした国際的研究を行い、気候モデルに関する不確実性を伝えるさまざまな方法の効率を比較した。今回の研究では、very likelyという語を用いた例文を使って、特定の事象の発生確率が90%超であることを表現しようとしたが、一般市民は、発生確率がIPCCの意図よりも50%に近いものと理解していた。また、同じ文章に、その内容に対応した発生確率を示す実際の数値範囲を含めた場合には、一般市民の解釈がIPCCの意図に近づくことも分かった。

doi:10.1038/nclimate2194

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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