冬に死者が増える傾向の緩和と気候変動
Nature Climate Change
2014年2月24日
英国のイングランドとウェールズでは、冬季の死者数が他の時期の死者数を上回る傾向が緩和されてきているが、その原因は、気候変動による冬季の温暖化ではなく、過去数十年間に社会経済的状態と医療の状態が改善されたことだったようだ。この研究結果を報告する論文が、今週掲載される。この研究で、冬季の気温変動から冬季の過剰死亡者数(EWD; excess winter death)の変化を予測できなくなったことが初めて明らかになった。
EWDは、12月から3月までの死者数の合計からその前後それぞれ4か月間の死者数の合計の平均を差し引いて求められる。これまでの研究では、EWDの原因が、非常に寒い日の直接的な影響(例えば、低体温症)と冬季によく見られるインフルエンザウイルス株を含む疾患に対する脆弱性が増したこととされ、そのため、気候変動による冬季の温暖化によってEWDが減少すると予想されていた。
今回、Philip Staddonたちは、こうした原因が入手可能な情報によって裏付けられるかどうかを調べるために、過去60年間のデータを照合して、イングランドとウェールズでのEWDの減少傾向に関連する重要な要素(気温の変化、住宅の質、暖房費、インフルエンザの流行)を割り出した。そして、この60年間にEWDが減少したことを確認した。ところが、EWDの年次変動と寒い日(摂氏5度未満の日)の日数の関連は、1970年代中頃まで強かったが、最近の数十年間に失われ、そのため、1970年代以降のEWDの年次変動と関連しているのは、インフルエンザ様の疾患の発症率だけになった。Staddonたちは、冬季の地域住民の健康が気候変動によって改善する可能性は低いと結論づけている。
doi:10.1038/nclimate2121
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