Research Press Release
ヒト幹細胞のゲノムに正確な変化を加える
Nature Methods
2014年2月10日
正確な変異が導入された希少なヒト多能性幹細胞を分離する方法が、今週号に掲載される。この方法は、正確な疾患変異を持つヒトiPS細胞株または疾患変異が修正されたヒトiPS細胞株を簡単に樹立することができ、疾患の遺伝的基盤の解明を進展させる上で有用と考えられる。
膨大な数のゲノム変異が統計的にヒトの疾患と関連付けられており、そうした変異の生物学的影響を実験的に研究する方法が切望されている。選択的ゲノム工学ツールによるヒト多能性幹細胞への正確な変異導入は、この目標を達成するための画期的な方法となる。
しかし、ゲノムを正確に変化させながらそれ以外の影響を最小限に抑えることは極めて困難である。Bruce Conklinたちは、これまで酵母の遺伝学に利用されてきた方法を、ヒト人工多能性幹(iPS)細胞用に改変した。その方法を高感度なデジタル式の生化学的検出法と組み合わせると、低レベルのTALEN(transcription activator-like effector nuclease)で目的遺伝子に正確な変異を導入した希少なヒトiPS細胞の分離に利用可能であることが示された。研究チームは、ヒトゲノムの複数遺伝子でその方法の有効性を実証した。
doi:10.1038/nmeth.2840
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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