【素粒子物理学】反水素原子の新たな生成法
Nature Communications
2014年1月22日
反水素原子が発生する磁性環境から数メートル離れたところで反水素原子の特性を測定しようとすると、通常、その挙動が撹乱されるが、その飛行中測定を可能にする反水素原子の新たな供給源について報告する論文が、今週掲載される。この反水素原子の生成法によって、反物質の基本的特性を調べるための分光実験が可能になると考えられる。
物質と反物質は完全に等価だと理論的に予測されているが、これまでのところ、実験的に証明されていない。原子遷移の分光測定を行うと、物質の基本的特性に関する情報がかなり得られる。これまでに水素原子の遷移を高い精度で測定することが実現されているが、それと等価とされる反水素原子の遷移についての高精度な測定は実現していない。
今回、黒田直史とCERNの反陽子減速器施設の研究者たちが、そうした実験を可能にすると考えられる反水素原子の供給源を開発した。精密に制御された磁場を用い、陽電子(反電子)と反陽子を混合して、反水素原子を生成するのだ。今回開発された磁気トラップは、他の反水素原子生成装置と異なり、特定の方向に流れ続ける反物質原子を選択的に合成する。こうして生成された反水素原子は、磁気トラップから引き出すことができ、黒田たちは、最長2.7メートル離れたところから反物質原子の流れを測定できた。この制御された反物質の流れは、将来的に、トラップの磁性環境の外での飛行中分光測定に利用でき、その結果、反水素原子の基底状態を調べて、水素原子との直接比較ができるようになると考えられる。
doi:10.1038/ncomms4089
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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