【合成生物学】高脂肪食からの人工的な脱却
Nature Communications
2013年11月27日
通常は同時に発現しない複数の遺伝子を組み合わせた人工遺伝子回路を作り、それを用いて、血中脂質値に合わせて食欲抑制ペプチドの産生を調節したことを報告する論文が、今週掲載される。この系は、原理的には、糖尿病、肥満など、血中脂質値が高くなることの多い代謝性疾患の治療に用いるペプチド性医薬品を必要に応じて生産できるように適応させることができる。
核内受容体PPARαは、体内の多くの細胞内で自然に産生され、代謝遺伝子の発現を誘導する脂肪酸によって活性化される。プラムリンチドは、食欲抑制ペプチド性医薬品で、糖尿病の治療に用いられている。今回、Martin Fusseneggerの研究チームは、PPARαの活性化とプラムリンチドをコードする遺伝子の転写が共役する遺伝子回路を作製した。それによって得られた人工の「脂質感知受容体」は、環境中の脂肪酸濃度に合わせてプラムリンチドの発現を動的かつ可逆的に調節でき、その結果、例えば、脂肪分の多い食べ物の摂取や病気のために血中脂質値が増加すると、食欲抑制ペプチドの産生量が増える系を作り出せるようになった。次にFusseneggerたちは、この人工受容体(人工受容体を持つ遺伝子組換え細胞をヒドロゲルのカプセルに入れたもの)を高脂肪の食餌を与えられたマウスの腹部に移植したところ、遺伝子組換えをしていない細胞を移植されたマウスより食料摂取量と体重が減り、血中脂質値も低下した。
doi:10.1038/ncomms3825
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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