Research Press Release

【生態】海洋酸性化でスズメダイ種間の競争の勝ち負けが逆転する

Scientific Reports

2013年11月21日

2つのスズメダイ種の研究で、海洋に溶存する二酸化炭素の濃度が上昇すると、それまで優位に立っていた種が最も大きな影響を受けて、競争に負けていた種の方がうまく適応することが明らかになった。この結果を報告する論文が、今週掲載される。

海洋に溶存する二酸化炭素の濃度は、大気中の二酸化炭素濃度に合わせて上昇し、現在の390μatm(100万分の1気圧)から2100年には900μatmに上昇すると予測されている。多くのサンゴ礁魚類は、海洋酸性化と海水温上昇によって影響を受ける現生サンゴを重要な食料源とし、すみかとしているが、二酸化炭素濃度の上昇に対する感受性の高い種と低い種がある。

今回、Mark McCormickたちは、縄張り争いをすることが知られている2種のスズメダイ間の相互作用が二酸化炭素濃度の上昇によってどのような影響を受けるのかを調べた。その結果、二酸化炭素濃度が上昇すると、現在優勢なニセネッタイスズメダイ(Pomacentrus amboinensis)が競争相手のネッタイスズメダイ(Pomacentrus moluccensis)に負ける場合が生じることがわかった。この競争階層構造の逆転は、生息地が劣化した場合に特に顕著だった。将来の気候変動と海洋酸性化の下での海洋生態系の組成を予測する上で、種間の複雑な相互作用を解明することが重要となるとMcCormickたちは結論づけている。

doi:10.1038/srep03280

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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