Research Press Release
光によって活性化される医療用インプラント
Nature Photonics
2013年10月21日
光に応答して活性化するよう遺伝子操作された細胞をマッチ棒サイズの透明ポリマーインプラントに組み込むことによって、マウスの特異的・局所的な体内治療が可能になることが、今週のオンライン版に報告されている。そうしたインプラントは、糖尿病の光学的治療や体内毒物のリアルタイム・モニタリングなど、さまざまな診断・治療応用向けに重要になるかもしれない。
Seok Yunらは、光活性化インプラントの医学的実用性の実証例として、まず糖尿病マウスの血糖値の調節を行った。光ファイバーを通してインプラントに青色光を照射し、インプラント内の細胞にインスリン産生を促すタンパク質を合成させたのだ。別の実証例では、重金属などの特定毒物の存在によってストレスを受けると緑色の光を放つ細胞をインプラントに組み込んでいる。将来、放出光のレベルの測定によって患者の体内毒物濃度をリアルタイムでモニタリングできるセンサーとして使用できるようになるかもしれない。今回開発されたインプラントは透明性が高く生体適合性があるので、こうした方法が功を奏すのである。
doi:10.1038/nphoton.2013.278
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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