マリファナ乱用の新たな治療法
Nature Neuroscience
2013年10月14日
ラットやサルでは、脳内にもともと存在する化合物、キヌレン酸の濃度上昇がマリファナの向精神性要素である報酬行動を抑制するとの報告が、今週掲載される。この研究は、大麻中毒の動物モデルでキヌレン酸が同様に再発を防止することも発見している。
中毒薬物の例に漏れず、マリファナの主たる向精神性成分のΔ9-THCは、脳内のドーパミン報酬系の活動を増加させる。α7ニコチン性アセチルコリン受容体(α7nAChR)を妨害すると、THCの引き起こすドーパミン性ニューロンの活動増加を阻害し、薬物中毒治療の助けとなる可能性がある。ただし、これらの受容体を妨害する薬物は望ましくない副作用を起こす場合もある。これに対し、これら受容体の天然調整物質の濃度上昇は安全面でも効果でもいっそう優れた手段となり得るだろう。
Robert Schwarczらは、α7nAChRの天然阻害物質であるキヌレン酸の濃度をRo 61-8048という薬剤を用いて薬理作用で増強すると、サルとラットで大麻摂取が妨げられることを示した。さらに、再発する大麻摂取の履歴をもつ動物で、少量のΔ9-THCあるいは薬物摂取と関連づけておいた合図を与えたあとでの再発をRo 61-8048が妨げた。ヒトにおけるキヌレン酸の濃度上昇の影響を導くにはさらに研究が必要とされるが、今回の結果は、脳におけるキヌレン酸の濃度調節がヒトのマリファナ依存の治療に効果的な手段となる可能性を示唆している。
doi:10.1038/nn.3540
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