Research Press Release
【生態】カッコウは宿主の眼をくらまそうと数多くの卵を産みつける
Nature Communications
2013年9月25日
カッコウは、同じ宿主(仮親)の巣に卵を何度も産みつけて、自分の仔が宿主に受け入れられる可能性を高めていることを報告する論文が今週掲載される。今回の研究は、宿主が自らの卵を特定するために用いる認知過程が、このカッコウの戦略によって損なわれ、カッコウの卵が排除されるリスクが低下することを示唆している。
多くのカッコウ種は、他の鳥類の巣に卵を産みつけて、宿主の卵の外観を模倣するなどの戦略を編み出して宿主による卵の排除を避けようとしている。これに対して、宿主の鳥類は、自らの卵とカッコウの卵を区別するための方法を確立している。つまり、自分たちの卵に関する予備知識を用いるだけでなく、色、パターンと大きさの違いを調べて、内面化されたひな型に合わない卵を廃棄していると考えられている。今回、Martin Stevensたちは、サハラ砂漠以南のアフリカを原産とするカッコウハタオリとその宿主であるマミハウチワドリを調べて、いかなる巣においても、産みつけられたカッコウの卵の数が増えると、宿主鳥が卵を区別する過程が損なわれ、受け入れられる寄生卵(カッコウの卵)の数が増えることを明らかにした。そして、Stevensたちは、産みつけられる寄生卵が増えてくると、自らの卵を正しく特定し、カッコウの卵を排除するためには、色の違いがより顕著なものとなる必要のあることも明らかにした。
doi:10.1038/ncomms3475
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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