Research Press Release
【微生物学】抗酸化剤テンポールが腸内微生物を狙い撃ちして肥満度を低下させる
Nature Communications
2013年9月25日
抗酸化剤テンポールが腸内微生物叢を変えてマウスの肥満度を低下させることを示唆する論文が、今週に掲載される。今回の研究は、腸内微生物叢が薬の作用と体重の調節の両方に関与している例を新たに提示し、抗肥満薬の有益な標的となりうる腸内シグナル伝達経路を明確に示している。
今回、Frank Gonzalezたちは、マウスにテンポールを投与する実験で、腸内に存在する主要な微生物群に変化があったことを見いだした。この変化によって、タウリン結合胆汁酸の分解に関与する微生物酵素の活性が低下し、それに応じて、投与時に腸内の胆汁酸濃度が上昇した。タウリン結合胆汁酸は、胆汁酸、脂質とグルコースの代謝に関与するFXRシグナル伝達に悪影響を及ぼすことが知られている。テンポールがヒトの肥満やその腸内微生物叢に何らかの影響を及ぼすのかどうかは明らかでないが、今回の研究では、テンポールがマウスの肥満に影響を及ぼす過程を説明できる機構の候補が示され、FXRシグナル伝達経路が代謝性疾患の治療にとって適切な標的となりうる可能性が示唆されている。
doi:10.1038/ncomms3384
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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