腫瘍を狙い撃ちにするT細胞をシャーレの中で作る
Nature Biotechnology
2013年8月12日
マウスの腫瘍細胞を死滅させる能力を持つヒト免疫細胞を幹細胞から大量に作製する方法が考案された。これによって、がん「免疫療法」、つまり、免疫系を活性化させて腫瘍を攻撃させる一連の治療法の実施が促進されるかもしれない。
大部分のがん免疫療法では、がん患者の血液からT細胞(免疫細胞の一種)を単離する必要がある。しかし、腫瘍細胞だけを特異的に認識し、死滅させるT細胞は非常にまれで、そうしたT細胞を大量に生成する方法が課題になっている。これまでの研究では、T細胞を操作して腫瘍特異的受容体を発現させるか、「再プログラム化」技術を用いて大量のT細胞を培養するかのいずれかの方法が示されていた。
今回、Michel Sadelainたちは、この2つの方法を組み合わせることで、腫瘍特異的T細胞を無制限に培養でき、そのT細胞がマウスの腫瘍を抑制できることを明らかにした。Sadelainたちは、健常者の血液から単離した少量のT細胞を出発材料として用い、それを幹細胞へ再プログラム化し、この幹細胞を操作して、腫瘍特異的受容体を発現させた。この幹細胞は、当初のT細胞の特性を再び獲得できるように誘導され、大量に増やされた後、腫瘍を持つマウスに注入された。Sadelainたちは、実験室で作製されたT細胞によるマウスの腫瘍増殖の抑制効果が、同じ提供者の血液から単離され、同じ腫瘍特異的受容体を発現するように操作された自然のT細胞の場合と類似していることを見いだした。この方法が臨床的に応用されれば、この種のがん免疫療法を受けられる患者の数がかなり増える可能性がある。
doi:10.1038/nbt.2678
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