Research Press Release

AZT耐性

Nature Structural & Molecular Biology

2010年9月20日

HIV-1は、一般的な抗レトロウイルス薬の1つであるAZTをウイルスDNAから除去する速度を高める変異によって、この薬剤への耐性を生じることがNature Structural & Molecular Biology(電子版)に報告される。この報告は、薬剤除去の抑制によって今後の効果的な治療につながるであろう薬剤開発の基礎となる。

AZTはHIV-1患者治療に初めて認可された薬で、現在も抗レトロウイルス治療に用いられる成分の1つである。多数の抗レトロウイルス薬と同様に、AZTはウイルスのもつ逆転写酵素(RT)を標的とする。ウイルスの増殖に際しウイルスDNAを作り出すのに、RTは欠かせない酵素である。

HIV-1 RT変異体の一部は、ウイルスDNAからAZTを除去してしまう。この仕組みを解明するため、E Arnoldらは、さまざまな形態のAZTと結合したHIV-1 RT変異体の結晶構造を解析した。その結果、変異によって酵素タンパク質に新たなATP結合部位が作られ、ATPがウイルスDNAからAZTを取り除く反応に加わることがわかった。

doi:10.1038/nsmb.1908

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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