Research Press Release
パトロールする血小板
Nature Immunology
2013年6月17日
マウスの肝臓の血小板は、チームプレーで体を病原菌から守っているという。今回の知見により、血小板が自然免疫防御に寄与していることが明らかになった。
Paul Kubesたちは生きたマウスの肝臓を画像化して、血小板が肝臓中を巡回警備し、洞様毛細血管に存在する特殊な免疫細胞であるクッパー細胞(KC)と相互作用することを発見した。この免疫監視は、血小板がKC表面の2種類のタンパク質、糖タンパク質1b(GP1b)とフォン・ヴィルブランド因子(vWF)と一時的に結合するというしくみで行われるという。細菌を捕らえたKCはvWFを活性化し、すぐにGP1bと別の表面タンパク質GPIIbIIIaを介した血小板の付着を誘発する。これが引き金となって血小板は、KCと広い範囲で接着するとともに、抗菌因子を放出する。メシチリン体制黄色ブドウ球菌を始め、血中に入った細菌を排除するにはこの相互作用が不可欠である。
血小板を枯渇させたマウスは感染後4時間経たずに死亡するが、処置しないマウスは感染後も生き残ることがわかった。細菌が肝臓でクッパー細胞に捕まってしまったため、血小板が十分にあるマウスでは菌血症にはならないが、血小板枯渇マウスでは深刻な菌血症が見られる。
doi:10.1038/ni.2631
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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