古生物学:ミイラ化した爬虫類が初期の呼吸器系を明らかにする
Nature
2026年4月9日
約2億8900万~2億8600万年前のものと推定される、ミイラ化した爬虫類の化石の残骸から、初期の有羊膜類(amniotes;爬虫類、鳥類、および哺乳類を含むグループ)が胸郭を動かすことで呼吸していたことが分かった。今週のNature に掲載される論文で報告されるこの化石は、陸生脊椎動物から発見されたものとしては最古とされる軟骨とタンパク質の痕跡を明らかにしている。この発見は、最初の爬虫類が陸上でどのように呼吸していたかについて、新たな手がかりを与えるものである。
水中から陸上への移行は、脊椎動物の進化における大きな一歩であり、初期の有羊膜類は乾燥した環境で生き残るため、新たな呼吸様式を獲得する必要があった。初期の有羊膜類は、おもに喉や皮膚による呼吸に依存していたのに対し、後の有羊膜類は肋骨と胸部を使って肺に空気を送り込んでいた。軟組織が化石化することはほとんどないため、この変化がいつ、どのように生じたのかを直接示す証拠は、これまでほとんど得られていなかった。
Robert Reisz、Ethan Mooneyら(トロント大学〔カナダ〕)は、現在の米国オクラホマ州にあるペルム紀(Permian period)初期の洞窟系で発見された、カプトリヌス(Captorhinus)と呼ばれる初期爬虫類の化石を分析した。良好な保存状態の標本は、微細な粘土に包まれ、油分を含んでいたため、これまで知られていなかった構造が明らかになった。これには、保存された三次元の皮膚、肋骨や肩周辺の軟骨、そして軟骨、骨、皮膚に残るタンパク質の痕跡が含まれる。化石には、複数の部分からなる軟骨性の胸骨、少なくとも4対の胸骨肋骨、中間肋骨、長い頸椎肋骨の延長部、および軟骨が含まれている。これらの構造は、肋骨籠が肩帯にどのように連結し、現生の爬虫類と同様の柔軟な呼吸系を形成していたかを示している。
著者らは、これが軟骨性の呼吸構成要素がそのまま残された、現存する最古の完全な有羊膜類の肋骨籠であると結論づけている。この発見は、初期の有羊膜類が軟骨性の胸骨を持っていたこと、そして肋骨の動きを利用した呼吸が、その後の運動、摂食、体形の進化的変化を支えた可能性を示唆している。また、これらの化石は、軟組織やタンパク質が予想以上に長く保存されることを示しているが、その保存状態はおそらく発掘現場の特殊な洞窟環境に依存していたため、このような発見は今後も稀なものになると考えられる。今後の研究では、これらの特徴がほかの初期の有羊膜類の間でどれほど広まっていたかが明らかにされるかもしれない。
- Article
- Published: 08 April 2026
Reisz, R.R., Mooney, E.D., Maho, T. et al. Mummified early Permian reptile reveals ancient amniote breathing apparatus. Nature (2026). https://doi.org/10.1038/s41586-026-10307-y
doi:10.1038/s41586-026-10307-y
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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