Research Press Release
寄生植物を撹乱する
Nature Chemical Biology
2010年9月6日
小さな顕花植物を用いたスクリーニングにより、植物ホルモン「ストリゴラクトン」のレベルを変化させる物質が同定され、このホルモンが光シグナル伝達経路で担う役割が明らかにされた。Nature Chemical Biologyで発表されるその研究は、サハラ以南のアフリカの農業にとって重大な脅威となっている寄生植物の侵入を防止するための第一歩となる可能性がある。
植物の根から放出されるストリゴラクトンは、重要な「分枝ホルモン」であると同時に、ストリガ属およびハマウツボ属の寄生植物が侵入するための合図にもなっている。この両属の植物は、サハラ以南のアフリカの農業にとって重大な脅威となっている。
寄生植物の侵入を遮断することができる小分子を同定するため、P McCourtたちは、化学遺伝学的スクリーニングを行ってコチリミド類(cotylimides)という小分子を発見した。この物質は、シロイヌナズナのストリゴラクトンレベルを乱す作用を示す。研究チームは、この物質をもとに、光シグナル伝達遺伝子と植物体内のストリゴラクトンレベルを制御する経路とのつながりを発見した。総合すると、この研究からは、植物ホルモンであるストリゴラクトンの新たな役割が明らかにされ、寄生植物の生育を制御する物質が開発される可能性がある。
doi:10.1038/nchembio.435
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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