Research Press Release
脊髄損傷後の自然回復
Nature Medicine
2010年5月31日
脊髄損傷後には、脊髄の運動ニューロン機能の自然回復と筋肉の消耗性のけいれんがみられる。この回復に、特殊な型のセロトニン受容体がかかわっている可能性があり、この受容体を標的にすれば、けいれんが予防できるかもしれないとの報告が寄せられている。
動物での数多くの研究によって、脊髄損傷後にセロトニンそのものやセロトニン受容体を活性化する物質を投与して脊髄のセロトニン受容体を刺激すると、運動に不可欠な運動ニューロンの興奮性が回復することが確かめられている。
D Bennettたちは、脊髄損傷後の運動ニューロンが、筋肉を収縮させる能力を自然に取り戻すことをマウスで発見した。この知見から考えられるように、特定の型のニューロンが、セロトニンがなくても機能する受容体を上方制御することによってセロトニンの欠乏を補い、歩行能力を回復させるらしい。しかし、そのままでは、これが筋肉のけいれんの原因になる。Bennettたちは、この受容体が継続的に働くのを阻害する薬剤によって、マウスだけでなくヒトでも筋肉のけいれんを抑えることができることを明らかにした。
doi:10.1038/nm.2160
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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