Research Press Release

熱帯低気圧が従う法則

Nature Physics

2010年7月12日

Nature Physics(電子版)で、熱帯低気圧を支配する経験則が見つかったと報告されている。熱帯低気圧への気候変動の影響については、非常に議論が多い。というのは、熱帯低気圧が十分に解明されていないからで、今回の成果はこの議論に影響を与える。

衛星画像が得られるようになる前は、熱帯低気圧の歴史的記録は不完全だった。A Corralたちは、臨界現象の物理で開発された方法を利用して、個々の熱帯低気圧が放出する全エネルギーに着目することでこの問題を解決した。小さな熱帯低気圧は大きな熱帯低気圧よりもずっと数が多いが、その相対的な割合は4つの異なる海盆で数十年間にわたって変わらないことがわかった。さらに、熱帯低気圧の最大エネルギーが海盆の大きさで決まることもわかった。

海面水温の上昇に影響されているのは、大きな熱帯低気圧の割合である。しかし、1995年から2005年の間に北大西洋でハリケーン活動が増大しているにもかかわらず、1970年以前の活動期と比べると、個々のハリケーンはより多くのエネルギーを放出していない。

doi:10.1038/nphys1725

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

「注目のハイライト」記事一覧へ戻る

プライバシーマーク制度