Research Press Release
カンボジアの薬剤耐性マラリア
Nature Genetics
2013年4月29日
マラリア病原体である熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)の大規模コレクションを用いて、ゲノムの塩基配列解読が行われ、マラリア治療における標準的な第一選択薬であるアルテミシニンに対するマラリア原虫の耐性の進化と最近の東南アジアにおけるマラリア流行に関する手がかりが得られた。
今回、Dominic Kwiatkowskiたちは、西アフリカと東南アジアの10か所で収集された最近のマラリア症例825例から単離されたP. falciparumの全ゲノム塩基配列解読を行った。その結果、このゲノムにおける遺伝的変異のパターンと薬剤耐性の特徴が明らかになり、アルテミシニン耐性を有する3つの下位個体群がカンボジア西部で同定された。また、アルテミシニン耐性系統のマラリア原虫を他の系統から区別できる遺伝マーカーも同定され、これが、薬剤耐性の拡大と進化を常時把握するうえで役立つ可能性がある。
doi:10.1038/ng.2624
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
古生物学:南米の琥珀層に古代昆虫が「ひしめき合う」Communications Earth & Environment
-
気候変動:山火事の煙による年間死亡者数は増加すると予測されるNature
-
人工知能:DeepSeek-R1 AIモデルの背後にある科学Nature
-
医療科学:医療を導くAIツールNature
-
気候変動:温暖化によるサンゴ礁の緩衝機能の危機Nature
-
神経科学:繰り返される頭部外傷は若年アスリートの脳細胞を変化させるNature