Research Press Release
合成生物学の品質管理
Nature Methods
2013年3月11日
生物学的過程を再現する目的で設計したDNAのパーツを組み合わせる合成生物学者が追求するものは、予測可能な活性である。今週のオンライン版に掲載される2つの方法は、まず現有の生物学的パーツの特性評価法、次いで確実に動作する要素の設計法を提案している。
合成生物学が抱え続けている課題として、ある局所的なDNAの近傍またはゲノムの状況で的確に機能するパーツが、別の環境ではうまく働かないことが挙げられる。Drew Endy、Adam Arkinたちは、2つの研究でこの確実性の問題に取り組んだ。研究チームはまず、統計的な枠組みを導入し、細菌の転写および翻訳を制御する要素の特性を評価した。それぞれのパーツには、異なる状況での動作を予測する特性スコアが割り当てられた。次に研究チームは、1,000倍のダイナミックレンジで確実に動作して目的の遺伝子を発現させる制御要素を設計した。
今回の方法は、合成回路の設計による当て推量の大部分を取り入れると考えられる。ひとたび大量の要素の特徴が明らかにされれば、近傍のDNAによるパーツへの干渉、さらにはサイレンシングを懸念することなく、めざす発現レベルを実現するのに必要なパーツを迷わず選択することができるようになる。
doi:10.1038/nmeth.2403
doi:10.1038/nmeth.2404
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
環境科学:火山活動が中世ヨーロッパにペストをもたらしたかもしれないCommunications Earth & Environment
-
人工知能:チャットボットは投票意向に影響を与えるかもしれないNature
-
社会科学:不安定なビデオ通話は、会話だけでなくそれ以上のものを損なうNature
-
天文学:衛星による光害が宇宙天文学研究を脅かしているNature
-
素粒子物理学:風変わりなクォーク四重項の定量化Nature
-
動物の行動:病気のアリはコロニーを守るため自ら犠牲となるよう合図するNature Communications
