Research Press Release
強くて延性のある合金
Nature Materials
2013年1月28日
これまでにない強度と延性を持つモリブデン合金を作製する加工法が報告される。モリブデン合金は、高強度、高熱伝導率、熱的安定性が重要視される高性能用途、たとえば熱交換器や耐食性貯蔵容器、原子炉向けの材料として魅力的である。
モリブデン合金は、熱と摩耗に強い耐火金属である。しかし、本質的に強いが脆い性質を持つ。つまり、応力に耐えるが、非常に高い応力がかかると変形せずに破壊してしまう。このたびSun JunとEn Maは、共同研究者らとともに、酸化物ナノ粒子が均一に分散したマイクロメートル未満の超微細粒からなるナノ構造合金を作製する加工法について報告している。研究者らは、こうした構造のおかげで過去最高の延性が得られることを示している。この合金は、室温で張力をかけても破壊前に最高で40%塑性変形可能である。加えて、強度も高く、従来のモリブデン合金を超える特性を併せ持つ。
研究者らは、この方法が工業生産に容易に適用できることを指摘している。今回の方法を利用すれば、モリブデン合金を低温で幅広く加工・成形できるようになるだろう。
doi:10.1038/nmat3544
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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