Research Press Release
ウイルス:エボラウイルスの異種間伝播
Scientific Reports
2012年11月15日
エボラウイルス株が、直接接触していないのにブタからヒト以外の霊長類へ伝播することが実験的に実証された。これは、実験的なエボラウイルスの哺乳類間伝播を示す初めての証拠と考えられており、この結果は、エボラウイルス流行時の予防・管理策に役立つ可能性がある。この研究の詳細を報告する論文が、今週、Scientific Reportsに掲載される。
エボラウイルス(EBOV)は、ヒトを含むいくつかの霊長類種において、命にかかわる出血熱を引き起こすことがある。今回、カナダ政府の研究者は、エボラウイルスのザイール株が、エボラウイルスを実験感染させたブタからマカクザルに伝播したが、両者間に直接接触のなかったことを報告している。これに対し、この実験と同じような飼育状態におかれたマカクザルの間でのウイルス伝播は観察されなかった。今回の研究で得られた知見は、特にブタからマカクザルへのエボラウイルス・ザイール株の広がりの一因が空気感染である可能性を示唆しており、動物からヒトへのウイルス伝播の可能性をより一般的に評価する際には、この点を考慮する必要があるかもしれない。
doi:10.1038/srep00811
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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