Research Press Release
タンパク質複合体の構造を質量分析法で明らかにする
Nature Methods
2012年10月15日
質量分析法の分解能および利用可能性を向上させることによって完全な多タンパク質複合体の重要な構造情報を得る研究法が、今週のNature Methods(オンライン版)で発表される。
どのような分子が結合可能でどのように成り立っているのかなど、大型の多タンパク質複合体に関する詳細な構造情報は、高分子量イオンの検出を可能とする質量分析法で測定することができる。現在、この方法には特別仕様の質量分析計を使用する必要があるため、それは一握りの専門的な研究室でしか行われていない。
Albert Heckたちは、Orbitrap質量分析計(高処理能タンパク質プロファイル解析で広く使用されている一般的なタイプの装置)に施した改良により、分子量1,000 kDaもの完全な多タンパク質複合体が測定されるようになったことを明らかにしている。その方法の分解能は、細菌のシャペロニン複合体GroELにひとつひとつのATPまたはADP分子が結合しているのを識別することができるほど高い。現時点では、これをもとの質量分析法で行うことはできない。今回の方法は、多タンパク質複合体の翻訳後修飾の高感度検出のような用途も可能と考えられる。
doi:10.1038/nmeth.2208
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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