Research Press Release
【ファイバーイメージング】無秩序な光に光明を見出す
Nature Communications
2012年8月29日
光ファイバー内のランダムな光場を用いた新しい撮像法が考案された。この方法は、これまで目の届かなかった部位を観察できる低コストの撮像システムの開発につながる可能性がある。この結果を報告する論文が、今週、Nature Communicationsに掲載される。
さまざまな光の伝播モードに対応する光ファイバーは、通常、光を散乱させ、光ファイバーから出力される光のパターンはランダムで予想不能なものとなる。普通、こうしたことは、撮像にとっての問題点となる。光ファイバーで伝送される画像が途中で歪み、消失するからだ。しかし、光ファイバーから出力される光の特徴を正確に把握できれば、入力光を調整して、伝播する光ビームに対する制御を高めることができる。今回、T CizmarとK Dholakiaは、この効果を利用して、マルチモードの光ファイバー内を伝播するランダム化情報に由来する蛍光粒子の画像を再現した。そして、入力側で光場を慎重に調節することにより、この撮像システムの焦点深度を選択でき、収束光学系を使用する必要がなくなり、リアルタイムで撮像システムの動態的調整をできるようになった。
この研究成果は、これまで観察の難しかった環境で用いることのできる多様な顕微鏡技術を開発するうえで役立つ可能性がある。
doi:10.1038/ncomms2024
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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