Research Press Release
遺伝子調節因子が自己免疫疾患を制御する
Nature Medicine
2012年6月4日
マイクロRNAとよばれるタイプの遺伝子調節因子が、炎症性疾患の重症度に直接影響する可能性があるとの報告が寄せられている。さらに、マイクロRNAの働きを止めると炎症応答が増幅されることから、遺伝子調節プログラムを変化させることで有害な炎症応答を抑制する、新しい方法が見えてきた。
関節リウマチや多発性硬化症などといった自己免疫疾患では、サイトカインの1つインターロイキン-17(IL-17)の増加が認められる。IL-17は、循環している免疫細胞の活性化状態を変化させることにより、炎症による損傷を助長する。Youcun Qianたちは、IL-17が炎症による損傷を助長するのは、組織内の細胞に存在するmiR-23bとよばれる特定のマイクロRNAを抑制するためでもあることを明らかにした。全身性エリテマトーデスと関節リウマチの患者では、それぞれ腎臓と関節でIL-17レベルが上昇していたが、miR-23bの発現は減少していた。IL-17がmiR-23bの発現を減少させている3種類の自己免疫疾患(全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、多発性硬化症)のマウスモデルで、これら2つの分子の間に直接的な関係があることが判明した。逆に、miR-23bの過剰発現は、これらのマウスモデルの自己免疫疾患発症を阻害した。
doi:10.1038/nm.2815
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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