Research Press Release
肝吸虫関連胆管がんのエキソーム塩基配列解読
Nature Genetics
2012年5月7日
肝吸虫関連胆管がんは、命にかかわる胆管がんの一種で、肝吸虫が関係している。このほど、この胆管がんについて、全エキソームの塩基配列解読が行われ、その結果を報告する論文が、今週、Nature Genetics(電子版)に掲載される。胆管がんは、全世界の原発性肝がんの10〜25%を占めており、特に、東南アジアでは、タイ肝吸虫(Opisthorchis viverrini)感染が関係しており、罹患率が高い。
今回、B T Tehたちは、タイ肝吸虫関連胆管がん症例の8点の腫瘍とそれらに対応する正常な組織について、全エキソームの塩基配列解読を行った。その結果選ばれた15個の遺伝子については、別の46症例でスクリーニングを行って、変異の出現率を調べた。その結果、がんとの関連が知られている数個の遺伝子の体細胞変異が同定され、さらには、胆管がんにおける変異に関与すると考えられる10個の遺伝子が新たに同定された。以上の結果は、胆管がんの発症において、ヒストン修飾因子、Gタンパク質シグナル伝達とゲノム安定性が何らかの役割を果たしていることを示唆している。
doi:10.1038/ng.2273
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
動物の行動:犬はおもちゃにすっかり夢中Scientific Reports
-
社会科学:オンライン上で歪められた年齢とジェンダーの表象Nature
-
材料科学:通常のプラスチックと同等の強度を持つ生分解性の竹プラスチックNature Communications
-
材料:海洋から回収した炭素を生分解性プラスチックに変換Nature Catalysis
-
動物の行動:ネグレクトされた子犬は成犬になるとより攻撃的で恐怖心が強くなるScientific Reports
-
遺伝学:自閉スペクトラム症の遺伝的に異なる形態Nature